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SMI会報-第2312号
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今回のSMI会報(2023年9月1日)発行について
談話室 シリーズ1 -「人生に華を」-
を発行させて戴きます。
[1] 目次
[1] 表紙 目次  
[2] 「人生に華を」第2回-表題「東宮香織と書道」 東宮 香織
[3] 東宮香織 著者 略歴 書道略歴 受賞略歴  
[4] インタビュー インタビュアー 常務理事 加藤 幸男
[5] 東宮さんと加藤との対話
[2] 「人生に華を」第2回-表題「東宮香織と書道」
「談話室」
シリーズ「人生に華を」第2回
表題 東宮香織と書道
筆者 東宮 香織
[3] 東宮香織 著者 略歴 書道略歴 受賞略歴
著者 略歴
東宮 香織
東宮 香織
1991年4月 (株)F・A・Jフラワーオークション・ジャパン
1993年7月 (株)ココ・コーポレーション
1988年9月 結婚、赤城温泉ホテル若女将
2023年7月 赤城温泉ホテル女将
書道歴
小学校一年生より母の手ほどきで書を始める
2012年4月 書泉会に入会
受賞歴
2021年6月 第72回毎日書道展佳作賞受賞
2022年6月 第73回毎日書道展毎日賞受賞
2023年6月 第73回毎日書道展秀作賞受賞
  • 書道芸術院俊英賞、同院賞、同特選賞、同佳作賞、 同秀作賞 他
  • [4] インタビュー
    インタビュアー
    SMI常任理事 加藤 幸男
    東宮香織さんの紹介(加藤)
    東宮香織さんをご紹介しようと思います。東宮さんには色々な顔があります。
    1. 前橋市苗ヶ島にある赤城温泉ホテルの女将
    2. 「毎日書道展」を、舞台に活躍する新進書道家(現在は、無鑑査)、東宮さんは、この日本最大の書の祭典で「毎日賞」を受賞されています。
    3. インテリア・プランナー(旅館業界の内装などの新規アイディアの発案に、その類稀な才能を発揮されています。)
    4. 中学・高校とサッカー部で競技生活を送るご子息をはじめとして、ご家族全員の日常を支える主婦。
    東宮さんには色々な顔

    等々、東宮香織という富士山の裾野を歩き回っても、その多様性に目移りするばかりで、なかなか全貌を見せてはくれません。私は、赤城温泉ホテルで度々、東宮さんにお逢いする機会がございましたが、とにかく明るく、今どき、こんなに屈託なく笑う方も珍しいと、東宮さんの豪放なお人柄に感心いたしました。直感的に、そのご性格の良さに打たれました。しかし、これも、東宮さんの一面に過ぎません。まさに人生に華を咲かせている東宮さんを、短い紙面で、解説することなどとても不可能なことなので、ここでは、東宮さんの数多い逸話の中からいくつかを紹介して、皆さんの頭の中で「人間・東宮香織」を組み立てて頂く資料に供したいと思います。
    中村憲吉の歌をかく
    ■中村憲吉の歌をかく
    1,山川に雪かきくらし降るみれば夕べもしぬに一人と思ほゆ 2,雪山よかぜ吹きつげり凍りたる川瀬の岸のいく朝とけず 3,夕ちかき枯野をあよむ足のへの眼にさむき石の肌かも 4,ほの白く闇に起きふす砂のうへ海のきはみは星の空かも 5,こんこんと馬柵をくぐる水きこゆ草の中より霧立ちながら 6,冷やひやとしづむ夜の原月うすくまばら林に家もこもれり 7,日暮るれば都よりとほき心すも裏山のかぜ雨戸をゆすり 8,春すぎて若葉静かになりにけり此の静けさの過ぎざらめやも
    スランプを超えて(東宮)
    私は、小学校一年生の時、母親からすすめられて書に親しむようになりました。
    書泉会に入会して本格的に書に取り組みはじめたのは10年前、下谷洋子先生の御指導を得て一からのスタートでした。
    仕事や子育てをしながら大好きな書を書く時間が、唯一の自分の時間となり、無になれる大切な時間でありました。
    なかなか思い描く様な作品は書けませんでしたが、毎日新聞が主催し、毎年開催される書道展に応募し、まずは入選して展示されること、次に佳作賞を受賞すること、最後の目標は毎日賞を受賞することで、この目標に向かって少しずつ進んでいっておりました。しかし、昨年のこと、筆が進まないどころか書が、制作が、だんだんと楽しくなくなっていく。
    東京の展覧会への出品、いわゆる公募締め切りが迫っている、しかし、作品は、いっこうに出来ませんでした。入選したとか賞を貰ったとか、急にそんなことが、二義的に思えてきて辛い。一切を捨ててしまいたい、書を辞めたい・・・。
    淋しい決意だが、辞める事ばかりを考えるようになりました。悩み抜いた挙句、いよいよ先生に、率直な制作の実情、葛藤する日々の迷いを打ち明け、どうすれば良いかを相談させていただきました。
    先生は、「何だか字に丸みが出てきている(そんなことを言わずとにかく続けなさい。)」とだけおっしゃった。苦境を、ひとまたぎとは、行きませんでしたが、悩み抜いたあげく先生のアドバイスをいただきました、正直とても辛かったのですが、先生の仰るアドバイスを、あたらおろそかにする訳にもいかず、制作を続けてみました。こうして、私は、スランプを乗り越えて、令和4年6月、「毎日賞」という夢の様な大賞を、頂けるようになったのです。 継続は力なりと申しますが、先生はじめ多くの方々の支えがあって自分の「書」が成り立っていることをあらためて追体験することとなったのです。
    中村憲吉の歌をかく ■伊藤左千夫 つつじ咲く

    つつじ咲く小松が岡に蕨とり心のどにして君をしぞ思ふ
    行く春はとどまらなくにさす竹の君がきますをいつとかまたん
    毎日賞受賞作によせて(加藤)
    第73回毎日書道展において「毎日賞」を受賞した東宮香織さんの玉作を拝見した。東宮香織さんのジャンルは、流麗極まりない筆さばきによる優雅な「かな美」の世界だ。台紙もうっすらと薄緑を使い、赤城の山の精気を運ぶ演出もある。周囲が何を言おうと一人、我が道を行く決意が評価されたのではないか。
    創作意欲に満ちた作品に、行き詰った時、毅然と我が道を行く、否、毅然と我を捨ててこそ再生があったことを強く感じた。芸術の尊さ、有難さをしみじみ感じる。
    さらに精進され、禅で言う「花は紅、柳は緑」の世界に到達されたい。
    愛するものに囲まれて(加藤)
    元禄13年(1700)、赤城温泉ホテルは、「あづまや」として創業し、万病に効く薬湯として永きにわたり人々に親しまれてきました。
    古くは、国定忠治の一党や、新田義貞も、この薬湯で心身を癒したと伝えられています。時は、流れ現在も湧き出し続ける赤城温泉ホテルの温泉は、成分で床が茶褐色になるほど濃厚な温泉を加水・加湯せず、かけ流しで用いています。
    また、ホテル内には、看板、部屋の名前、床の間、等々に書が飾られていることは、無論のこと、階段の踊り場を利用したリトル・ギャラリー等さらに多様に、書に触れる機会が用意されています。
    中には、しばしばこのホテルを利用していた秋月影雄早大名誉教授の仲介により、同教授の弟子である在日の韓国人研究者崔元奎博士の御母堂である著名な書道家の玉作が、展示されています。素晴らしい書を通じて、国際交流が実現しました。
    また、お客様との交流を通じて得られた作品の展示などもあり、興味をそそられます。愛するものに囲まれて生きて行く東宮香織さんの書との付き合い方が、はからずも宿の魅力となっています。
    【 館内に飾られている作品の一例 】


    身の奥に 湯のぬくみある 藤月夜
    正木 ゆう子 下谷 洋子書


    朝やけ紅く そまりゆくゆるやかな ぬめ肌のみどりの裾 いしたたきとびこう谷川 あけびの実で唇そめる 山娘のゆもじ 水にうつろう うずまく落陽天に映え 入道荒山に咆ゆ
    凛冽たり 上州の山々
    東宮七男
    ※東宮七男は、書をよくした父方の叔父、当作品は、東宮家本家に寄贈された書(額装)
    [5] 東宮さんと加藤との対話
    加藤(SMI常務理事)からお聞きしたいこと
    加藤 書をやっていたことで得られたもの、或いは、変わった事は?
    東宮 小さい時は、一緒に習っている友人に、ただひたすら「負けたくない」の一心でした。大人になると心の落ち着きを得、書をする穏やかな時間そのものが、意味を持ち、心底から幸せを感じるように変容いたしました。私自身は、まだまだ未熟な人間ですが、書を通じて大人になれたというか、「大人になる」事を、ごく自然に得られたのだと思います。
    心の深いところでは、男の子を授かった時点で、自分の性格からして、もし、何もなかったら男の子で可愛いばかりですし、大きな意味では、異性なのでのついめり込むであろうことは、予測出来ましたので、書は、そういう自分に、子育て以外の何か打ち込める事を与えてくれました。
    加藤 書のモチーフになっている歌の世界について、好きな作家は、惹かれる歌は、制作の動機は?
    東宮 与謝野晶子
    加藤 かな部(二類)の規範というか、一類との違いを教えてください。
    東宮 この分類方法は、毎日書道展独自のものです。二類は、和歌1~2首、俳句は、4句まで。一類は、和歌3首以上 俳句5句以上、となっております。
    加藤 筆、和紙、墨、硯、墨、文鎮等道具に関するこだわりや、大切に考えていることがあれば 教えてください。
    東宮 全ての道具を大切にするようにしています。和紙は、紙質が色々あるのでよく吟味して、自分の書きやすいものを選んでおります。
    加藤 第73回毎日書道展の「毎日賞」は、過日、新聞報道等されました、どの様な反響があったでしょうか?
    東宮 私の様なものが、大きな賞をいただけたのは、ひとえに先生のお心のこもった、ご指導のお陰です。身に余る光栄で、大きく報道され、皆様に大変祝って頂きましたが、まだまだ実力そのものが、追いついておりません。
    加藤 働きながら、ある種、道を極めていらっしゃいますが、制作にあたっての心構えを教えてください?
    東宮 自分への挑戦、そして、自己満足。
    加藤 書のある人生、もしなかったらの人生、感ずるところをお聞かせください?
    東宮 書があるから自分を大いに褒められます‼、なかったら・・・?多分、書のない人生は、なかったと思います。
    加藤 ご自身が、書家であることで、ご家族の理解と反応は、或いは、御主人の反応は?
    東宮 全くありません。理解は、していてくれますが、筆を持つ時は、誰も近づいて来ません。(笑)
    加藤 今年(令和5年)の作品は
    東宮 今年は、白で行きたいと思っております。今年の出品作は、昨年の様な色付きの和紙ではなく、白紙にし、あえて他の要素を排斥し、あえて、演出の力を借りずに「書だけの」、純粋に書の有り様だけを問うこととしたいと考えております。
    誰に言われてという事もなく、自分自身に架すものとして白を選びました。
    ある意味、原点回帰です、未だ結果は、知らされておりませんが、評価は、他人が下すもの、制作は、すべからく自分自身への挑戦なのだと思っております。
    自分が動かなければ何も始まりません。課題は、自分自身と向き合っていることで浮かび上がってきます。他人ではなく、自分なのだと思っています。縦180cmm横60cmm程の和紙が、舞台なのです。何枚も何十枚も書くわけではありません。人間の集中力には限界があります。私の場合は、せいぜい3~4枚書き、そこから一枚を選んで出品するようにしています。

    公募展以外にも、次のような東宮作品の発表が、予定されています。

    庭の面はまだかわかぬに夕立の空さりげなく澄める月かな
    ふかくさの里の月かげさびしさもすみこしままの野邉の秋風
    新古今和歌集
    おわりに(東宮)
    書泉会に入会することが出来、尊敬の念がやまない下谷洋子先生と出逢う事が出来ました事、心より感謝申しあげます。先生のご指導の一言,一言を常に考え、作品に仕上げて行けたらと思っております。
    まだまだ未熟な私ですが、先生をはじめ、諸先輩方の皆様、私が、書をさせていただく為に時間をさいてくれる家族、皆様に今回は、改めて感謝の念でいっぱいです。
    また初心にもどり、一歩一歩学んで行きたいと思います。本当にありがとうございました。
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