私は、小学校一年生の時、母親からすすめられて書に親しむようになりました。 書泉会に入会して本格的に書に取り組みはじめたのは10年前、下谷洋子先生の御指導を得て一からのスタートでした。 仕事や子育てをしながら大好きな書を書く時間が、唯一の自分の時間となり、無になれる大切な時間でありました。 なかなか思い描く様な作品は書けませんでしたが、毎日新聞が主催し、毎年開催される書道展に応募し、まずは入選して展示されること、次に佳作賞を受賞すること、最後の目標は毎日賞を受賞することで、この目標に向かって少しずつ進んでいっておりました。しかし、昨年のこと、筆が進まないどころか書が、制作が、だんだんと楽しくなくなっていく。 東京の展覧会への出品、いわゆる公募締め切りが迫っている、しかし、作品は、いっこうに出来ませんでした。入選したとか賞を貰ったとか、急にそんなことが、二義的に思えてきて辛い。一切を捨ててしまいたい、書を辞めたい・・・。 淋しい決意だが、辞める事ばかりを考えるようになりました。悩み抜いた挙句、いよいよ先生に、率直な制作の実情、葛藤する日々の迷いを打ち明け、どうすれば良いかを相談させていただきました。 先生は、「何だか字に丸みが出てきている(そんなことを言わずとにかく続けなさい。)」とだけおっしゃった。苦境を、ひとまたぎとは、行きませんでしたが、悩み抜いたあげく先生のアドバイスをいただきました、正直とても辛かったのですが、先生の仰るアドバイスを、あたらおろそかにする訳にもいかず、制作を続けてみました。こうして、私は、スランプを乗り越えて、令和4年6月、「毎日賞」という夢の様な大賞を、頂けるようになったのです。 継続は力なりと申しますが、先生はじめ多くの方々の支えがあって自分の「書」が成り立っていることをあらためて追体験することとなったのです。
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■伊藤左千夫 つつじ咲く
つつじ咲く小松が岡に蕨とり心のどにして君をしぞ思ふ
行く春はとどまらなくにさす竹の君がきますをいつとかまたん
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